明日葉の基礎知識

日本原産のスーパー野菜「明日葉」

明日葉は、その強靭な生命力がスゴイ

いいものは、いつの時代でも長続きするものだ。

そのよい例がこの「あしたば」である。

すでにご承知の人も多いと思うが、明日葉の名の由来は、「今日葉っぱを摘んでも明日には葉を出す」から来ている。

この強靭な生命力が人気の秘密だ。

実際に、葉を摘んだ翌日には葉を出しているのだろうか?

本当のところ、そういうことはないようだ。

にもかかわらず、昔の人々は「明日には葉を出す」と考え、そう信じていたのである。

だからこそ、「あしたば」と命名したのであろう。

「明日には葉を出す」と信じさせる理由はなんなのだろうか。

実は、そこにこの「明日葉」の秘密が隠されているような気がする。

いうまでもなく、明日葉は食用である。

そして、まだ植物学的に名前もなかったころから、人々はこの植物を口にしていた。

セリ科だから少々ピリッとした苦みがある。

正直なところ、昔の人々は、さほどおいしいとは感じなかったに違いない。

いまのようにいろいろな料理方法があるわけではない。

生で食べるか、せいぜい煮るくらいである。

だが、食べていて気がついたのであろう、なぜか、この草を食べると元気が出てくることを。

しかも、腹の具合が悪いときにこれを食すれば、腹がスッキリするし、食欲も増す。

また、妊婦に食べさせると乳の出がよくなり、元気な赤ちゃんも生まれてくる。

これを食べている年寄はいつまでも元気だし、女性の肌の色艶もよい。

そこで人々も、この植物には不思議な力が隠されているのかもしれないと、感じ始めたであろうことは、容易に想像がつく。

さて、この植物をよくよく観察すれば、島のあちらこちらに生えている。

葉をむしってしまっても、翌朝には何事もなかったように青青とした葉を茂らせている。

不思議な力と、いつも青青とした葉を茂らせている植物。

「今日、葉っぱを摘んでも明日には葉が出ている」

と感じるのは当然なのかもしれない。

日本原産の生命の野草

あしたばの原産地は、日本である。しかも、東京都だ。

東京といっても、南は小笠原諸島まである。

実は伊豆七島が明日葉の発祥地だ。

くわしくいえば八丈島らしい。

らしいというのは、文献にはそうあるのらしいが、いつのころからは、三宅島やら大島、御蔵島といった周辺の島々にも「野性の明日葉」が群生しているからだ。

原産地を特定してもあまり意味はなく、最近では「伊豆七島が原産地」という関係者が多い。

ただ、島々に生えている明日葉には「特長」がある点がおもしろい。

たとえば、大島の明日葉は大体30センチ程度の大きさに成長する。

一方の「原産地」といわれている八丈島の明日葉はニメートル近くにもなる。

葉の大きさも「ヤツデ」もビックリというくらいに育つ。

葉の肉厚もあり、人間様がそのまま口にしても太刀打ちできないくらい堅くなる。

聞いたところによれば、御蔵島には3メートル近くも育った明日葉があったそうである。

子どもが『木登り』できたという。

島ではないが、伊豆半島も明日葉の群生地としては有名である。

こちらの明日葉は60~80センチ程度。

伊豆大島と八丈島の中間といった感じである。

湘南海岸付近の山間部にも明日葉の群生が見られる。

こちらはやや小振りで20センチ前後だ。

もっとも、学術的に確認したわけではないので、中にはとんでもなく巨大化した明日葉が群生しているかもしれない(実際にそういう明日葉を発見して大喜びしている人がいる)。

その他には房総半島、四国、瀬戸内海、紀伊半島、そして東京湾のお台場などでも野性明日葉の群生が確認されている。

ともかくも、八丈島あたりで群生していた野性あしたばが、いつのころからか黒潮の香りが漂う周辺の島々や半島に、その勢力をのばしていったことだけは間違いないようだ。

明日葉はまずい?

さて、先ほど「明日葉はセリ科だから苦みがある。あまりおいしくない」といったが、実際はどうなのだろうか。

味覚には個人差があるので一概にはいえないが、子どもが喜んで食べる味でないことだけは確かである。

ピリリとした苦みはどうしようもない。

これが、明日葉の味の特長なのだから。

しかし、この苦みを上手に活かす方法はいくらでもある。

テンプラ、おひたし、胡麻合え、ギョウザ、スープ。

味覚にも個人差があるように、料理の腕にも個人差がある。

したがって、明日葉も料理の腕次第、、ということができる。

素材がどんなによくても、腕が下手だと料理はまずいものだ。

逆に腕がいいと、少々の素材の悪さもカバーでき、それなりの風味を出すことができるだろう。

明日葉はどうか。

読者諸兄の家の「コツク長」次第である。

スーパーで売られている明日葉は、総じて葉も茎もやわらかく、苦みも少ない。

よほど腕が下手クソでないかぎりは、子どもでも食べられるおいしさにはなるだろう。

問題は、野性の明日葉を摘んできた場合と、自家栽培したものを利用する場合だ。

葉は5~10センチ程度の青青したものがやわらかくて、程よい苦みがあり、テンプラ、おひたし、混ぜご飯と、なんにでも合う。

スーパーで売られているのもだいたい、この程度の葉がついているようだ。

ところが、自家栽培などでは葉を摘むのをおしがり、葉を大きくしてしまうことが多い。

20センチ以上になったヤツデのような葉をテンプラにしても、歯ごたえと苦みばかりで、ちっともうまくはない。

栄養的には問題はないが、食べ物である以上はおいしく口にしたい。

そうでないと、唾液、胃液などの消化酵素の出が悪くなって、明日葉の栄養を十分に吸収できなくなってしまう。

明日葉


八丈島産 明日葉

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